弦の運動エネルギーとポテンシャルエネルギーから波動方程式を導く過程では、古典力学を別の形で定式化したラグランジュ力学を用いる。ここではポテンシャルエネルギー項 \(V\) に注目し、特にそれがなぜ空間微分の二乗 \(left(partial psi / partial xright)^2\) を含むのかを考える。
簡単に言えば、ポテンシャルエネルギー \(V\) は弦の伸びに関係している。これは、変位した後の弦の小さな部分を見ると最も理解しやすい。
直感的な理解
\(x\) から \(x + mathrm{d}x\) までの弦のごく小さな部分を考えてみよう。この部分が \(psi(x,t)\) だけわずかに鉛直方向へ変位しているとしても、伸びを生み出すのは絶対的な高さではない。ある部分が一様に持ち上げられるだけなら、その長さはほとんど変わらない。伸びが現れるのは、隣り合う点が異なる量だけ変位しているときである。
微分
は、変位 \(psi(x,t)\) が弦に沿ってどれだけ速く変化するかを測る。言い換えれば、弦の局所的な傾きを測っている。傾きが大きいほど、弦の小片は平衡状態にあるときより長くなり、そのため弦の張力の中により多くのエネルギーが蓄えられる。
微分を二乗した
は、エネルギーが傾きの符号ではなく、その大きさに依存するようにする。上向きに傾いた部分と下向きに傾いた部分は、傾きの大きさが同じなら、同じ量のポテンシャルエネルギーを蓄える。
数学的な解釈
ポテンシャルエネルギー項は
である。これは、弦に沿ったすべての点 \(x\) について、\(0\) から \(ell\) まで積分したものである。ここで \(mathcal{T}\) は弦の張力である。張力は復元する働きを持つ。つまり、弦が平衡形状から引き伸ばされると、その変形の中にエネルギーが蓄えられる。
量
は、小さい傾きの近似における単位長さあたりのポテンシャルエネルギー密度である。したがって積分は、弦全体にわたるこれらの局所的な寄与を足し合わせ、全ポテンシャルエネルギーを与える。
したがって、\(left(partial psi / partial xright)^2\) が現れることは、単純な物理的事実を反映している。すなわち、弦は単に鉛直方向へ変位したときではなく、その形が点から点へと変化するときにポテンシャルエネルギーを蓄える。この項は、張力 \(mathcal{T}\) による形状変化への弦の抵抗を表しており、波動方程式を導くうえで本質的である。
