読書記録+十六日目+『外国散文精品鑑賞』+読書ノート
水の国、花の国、牧場の国へようこそ――オランダへ。オランダへ行ってみたいと思うなら、チャペックの『田園詩情』を読み終えたあと、まるでモンゴルの草原に来たかのような気持ちになる。幾筋もの川が、緑の草原の上で交差している。一世紀前のオランダは、まるで一面の牧場で、都市の痕跡など少しも見えなかったらしい。作者の言葉のあいだから、牛や羊が草を食む音まで聞こえてくるようだ。作者の目には、牛はものを考え、牛のたたずまいは端正で、しかも深い威厳を帯びている。青々とした草原と澄んだ青空が、ひとつに織り合わされている。
静かで、深い闇に沈むオランダは、夜の薄絹に覆われている。馬も牛も羊もみな静まり返り、大地にはただ静かな呼吸だけがある。遠くの灯台が、かすかに瞬きをしている。作者の描くオランダには人の姿が見えず、ただ自然だけがあふれるように押し寄せてくる。この青々とした草原に横たわり、星々を体じゅうに降り注がせ、大地の呼吸に合わせてゆっくり上下していたい。
